2020年06月04日
木曽路はすべて山の中である

この20日間ほど、ものすごく気分が落ち込んでいたのだが、自分のなかで一つの区切りをつけるために。
突然、二本刺しの武士が現れてもおかしくないような面影を残す妻籠宿を出たのが朝8時前。
そこからは舗装もされていない山道を歩いていく。馬籠峠までの6キロで400メートル登る道のところどころに数軒の民家、集落というほどの大きさもない。
おそらく夏は暑く、冬は雪が積もるような寒さ。幹線道路からはずれ交通の便もよくない。生活するには決して便利ではない場所だろうけど、先祖からの土地を離れずに守っている。

「馬籠までは3時間歩くよ」と脅しをかけられながらも、「頑張ってきます!」というと「頑張ってね」。
おそらくここに住んでいる人は、ちょっとしたことで不平を口にしたりはしない我慢強い人たちなんじゃないかと思う。

この中山道の山道を歩く人の大半は欧米の人だそうだ。
欧米のメディア、ソーシャルメディアなどで知りここを訪れる欧米人が非常に多いそうだ(コロナの影響で今日は1組しか見かけなかったが)。そしてその人たちは必ず歩く。
日本人はどうかというと、妻籠宿まで車できて、その辺をぶらっと見たあと、車で移動してまた馬籠宿をぶらっと見学する。妻籠と馬籠を結ぶ中山道にアプローチする人は決して多くないそうだ。

途中にある、男滝、女滝で水しぶきを浴びる。
マイナスイオンに包まれて健康になっていく気がする。使い古された言葉かもしれないが、「一服の清涼剤」というのがまさに当てはまる。
せっかく健康になったのだからと、ポケットからセブンスターを取り出す、もちろん携帯灰皿も一緒に。

そのような時に突然出現したのが、立場茶屋。
立場茶屋とは宿と宿の間に位置し、旅人が休憩できる場所だったらしい。
その建物がいまだに残っており、現在もお茶などを振舞ってくれる。私が行ったときは、平日、しかも朝が早かったから係の人はいなかったが、お湯やお茶、急須がすでに用意されていて、ご自由にお飲みくださいとなっていた。

落書き帳のようなものがあったので見てみると、やはり書いているのは大半が外国の方。自国のことばで書いているので内容はわからないが、このような伝統的な日本に触れることができて大変喜んでいるのではないだろうか。
地元にある財団法人「妻籠を愛する会」の事務所に飛び込みでお邪魔し、「なぜここは欧米の人が多いのですか?」と聞いてみたら、理事長さんが丁寧に教えてくれた。
「私たちは50年も前から環境保護に取り組んできた。伝統の建物や文化をいかに残していくか。そして訪れてくれた外国の方が何を求めているのか、それを直に聞いて改善もしてきた。
私たちは海外に向けて何一つ宣伝はしてこなかったけど、欧米の新聞や雑誌が妻籠に来て記事にして勝手に宣伝してくれた。それは、それを求めている人が多いということでしょう。」
結局、日本のよさは日本人ではなく、欧米人がよく知っているということなのでしょうか。
Posted by はままつ88オーナー at 18:13│Comments(0)
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